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学園祭が終わった日の話。
2008年07月23日 (水) | 編集 |
 彼女は何故か、たまにふらりと現れる。


 別に示し合わせたわけでもないのに必ず誰もいないときに来るから、最近は誰もいなくて静かだと、あ、そろそろ来るかな、と思うようになってしまった。
 そんなときの彼女の格好は大概がわけのわからないものだが(多分微妙な気分のときばっかだからだろう)、今日は白地に黒とピンクで花が描かれた愛らしい浴衣姿だ。この間の気合入りすぎた姫ロリとかよりはよっぽど下町の空気に馴染んでる。縁日に行けなかった腹いせかもしれない。
 彼女はいつも通り、玄関からではなく庭から堂々と不法侵入してきて、窓の外に置かれたおんぼろな縁側に腰掛けた。
 挨拶もない。感じ悪い。
 何となく猫になって隣に座ると、見下ろしてきた彼女の結い上げられた髪がさらりと落ちる。
「ねえ、好きな人いる?」
 挨拶の前にそれかい。
 黒猫は首をかしげた。いるような、いないような。
「じゃ、気になる人は?」
 黒猫は、逆に首をかしげた。いるような、いないような。
「じゃあ、一緒にいると特別うれしい人は?」
 ……ん? いるかも? 浮かんだ顔はあったぞ今?
 どうしようかと思ってたら首根っこ掴まれて、部屋の中にぶん投げられる。
 畳に置いた座布団の上にぼすんと落ちて人に戻り、面倒くさいのでそのまま転がった。
 あーやだ。
 コレモードの時のこの子はほんとに面倒くさい。
 何で女の子ってこんな色々ぐちゃぐちゃ考えたがんのかなー。
 言われてもわけわかんないっつってんのに、うち来るしさー。
「その人のそばに居辛くなったらどうする?」
「なんにゃいも」
「なったらよ」
「自分から近寄らなくする」
「できるわけないくせに」
「できるでしょ。だってそんなん、相手が嫌がってるときじゃん」
 相手も楽しくて自分も嬉しいなら居辛いもクソもないんだし、そんな特別な相手のそばに自分からいたくなくなるなんてそう滅多にあるもんじゃないし。
 ま、わかんないけども。百年の恋も冷めるときはあるらしーし。知らないけど。俺直感の人だからあんま第一印象から人の好き嫌い変わらないし。
 とりあえず相手が嫌がってたらムカつくから離れるかなーって思う。それ以上嫌がられるのも癪に障るしなー。多分なー。
「…そうだったんだもの」
「どーだかねー。勝手にそう思ってるだけじゃないの」
「…そうだったけど」
「そーでしょ。ないよそんなん。そっちですらそーなのに俺様に限ってないないない」
「…むかつくわ」
「そらどーもにゃー」
 一応褒めてんのにさー。そんな、謂れもなく突然隣にいたくないと思われるような子じゃないでしょうに。
 いつも自信満々なくせに、何でそんなところばっかり卑下ってるのか全然わかんない。
 学園祭中の屈託なさを思い返して、何となく視線を向けた。
 器用に花を模った帯の結び。背中を丸めて、膝を抱えてる。
 危ないなぁ。あの縁側、ぼろすぎて足ぐらぐらすんのに。
 まあ窓開いてたって男一人の部屋に入るのは嫌か。そらな。意識はまったくされてないがな。ていうかこっちもしてないしな。可愛いけど、何か妹ってゆーか、遠慮なさすぎて男友達みたいだし。
 てことは、あれかな。
「より戻ったのー?」
 前触れもなく彼氏できたとかいつか嫁に行くとか言われた日にも度肝抜かれたけど、別れたとか言われて更に目を剥いたの、ついこないだなんですけども。
 忙しそうな上に学祭前で、息切れしてるくせに上乗せで何やってんのって、相当呆れたから確かなんですけども。
「…そもそも別れてないわよ」
 いや待てよ。どう考えてもあれ別れたってニュアンスだったろーよ。ふざけんなよ。一応心配してた俺の立場ってどうよ。
 ものすごい苦い顔してやったら、顔真っ赤にして振り向いた子と目が合った。
 ちくしょう、可愛いなぁ。
「…心配してくれてありがと。いてくれて良かった」
 言われて、腰抜かしそうになった。や、寝てるから無理だけど。
 目まん丸にしてしばらく固まって、慌てて頭抱えて丸くなる。高速ごろごろ姿勢。
 3、2、1、…起動。
「―――――……ぅぎゃーっ、いやッ、やめてーッ、俺そういうのだめッ!! むずい、むずがゆいっ しぬっ!! 親友ちゃんに言えよそんなのーっ!!」
「とっくの昔の一番最初に言ったわよ。おなかが気持ちいいしか芸のない猫と一緒にしないでよ。感謝のレベルが違うのよ。ばーか」
「こ、こんちくしょう…!!」
 おま、さては礼でも言いにきたのかとちょっときゅんとなった俺のハートを返せ…!!
 や、俺が照れるからわざとふざけんだろうけど、ふざけたところでこそばいでしょおおがああああ
「ぐあっ」
「………」
「………ぐあぐあっ」
「………」
「……うああああああっ、良かったねえええええー?」
「………ん」
 ……ああもうちくしょ、女の子だなぁ!
 頭の中の男友達ぽいを赤線で消して、妹に強調アンダーラインを入れてみた。
 うんまあ、なんだ、良かったねええ?
 結局最後まで詳しい状況よくわかってなかったけどねええ?
 親友さん、知ってたらそのうち教えてください。







 本人日記とかに書きたくない言うし、いいってゆうから手紙の内容はしょりはしょり事情の説明みたいな。
 あんなベタベタだったくせに露骨に感情いじってて、案外心配してた人もいたんだぜみたいな。
 とりあえず、よかったねー?
コメント
この記事へのコメント
ΣΣ
あ、あ、あ…っなんだ、そっか、そっか…っ。
良かったぁぁああああっ!
(こっそり心配してたけど口出し出来なかった子)
(叫ぶだけ叫んで満足してった/ぇー)
2008/07/23(Wed)  | URL  | ヒナ [ 編集]
そっかそっか~そうなんだ~
よかった…(*ノノ)

(雛その2も影から実は心配してました…
が、そんな踏み込んだこと聞けるような仲ではまだないから
聞けなくて、もにょもにょしてたのでした…
よかった…v)
2008/07/25(Fri)  | URL  | 雛 [ 編集]
良かった良かった!
うん、良かった!良かった!
無理せず仲良くねぇぇえ!

(影からひっそりW氏にパイぶつけてきた女…(まて!
2008/07/31(Thu)  | URL  | マリリン [ 編集]
俺レス遅いんだってば。
そうだよねー、みんな気になるよねー、Wひな良い子ーっ(*ノノ)

…てかマリリン、それ俺に伝言しろってこと!?
でででできないよやっと落ち着いたぽいのにそんな命知らずなこと…!!!
自分で言ってやってよ…!!!
(あのブリザード期を一度味わってみればいいんだ…!! あの子事情知ってる人間に対しては相当深刻にへちゃってた…!!)

あ、でもパイ投げはGJ。俺もちょっとだけ投げてやりたかったなんてそんなこと秘密だから!(えへえへ)
2008/07/31(Thu)  | URL  | 栖 [ 編集]
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